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2005.12.08

少女殺害事件でネウロが紹介

似【してき】
11月22日に広島で小学1年生の女の子が絞殺されて段ボール箱に入れられた姿で発見されるという痛ましい事件が発生した。
30日未明に逮捕されたY容疑者は12月01日に犯行を自供したが、犯人逮捕までの間にマンガ『魔人探偵脳噛ネウロ』との類似性を指摘する情報が寄せられ、『ネウロ』がTVや週刊誌で紹介されるという出来事があった。
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類似性を指摘されたのは『ネウロ』の作中に登場した「怪盗サイ(X・I)」。 遺体が入れられていたダンボール箱の封が細いテープで「XI」と読める形に貼られていた事が、人間をさらって“箱”に詰める「サイ」に類似している、という事らしい。
 
 
X【サイ】
「怪盗サイ」とは作中に登場する正体不明の犯罪者で「未知を表すX」と「不可視(インビジブル)を表すI」がその名の由来。 「monster robber X・I」すなわち「怪物強盗X・I」を略して「怪盗“X”(サイ)」と呼ばれている。
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「サイ」は美術品を盗む他に、人間をさらって“箱”に詰める。 箱はガラス製の立方体で、作り方は不明。 その中身は人体の原型を留めていないが、中身のDNAや重量はさらわれた人間と同じ。 その常軌を逸した行動ゆえ怪物として恐れられている。
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「サイ」の正体は、常に細胞が変異し続ける特殊な人間。 手錠を引きちぎる怪力を持ち、色々な年齢・人種・性別に変身できる。 しかし細胞が変異し続けるゆえに古い記憶がどんどん失われてゆき、自分自身の本当の姿も年齢も性別さえもわからないという気の毒な一面もある。
「サイ」は自分を知るために“他人の中身”を観察する。 美術品を盗むのは「作った奴の中身が全部詰まっている」から。 「サイ」が作る“箱”も「その人間の中身が全部詰まって」いる。 どちらも目的は同じ“観察”だ。
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報【メディア】
広島テレビのHPの11月29日付けのニュースでは、捜査本部に寄せられた情報として『テープの貼り方が同じような「少年漫画」があるという情報も複数寄せられている』と掲載されている。 同サイトで視聴できたニュースの動画では『「少年漫画と酷似」との情報も』というテロップが入っていた。
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これを「酷似」と呼ぶには、あまりにも無理がある。 「連想させる」程度が妥当だろう。

週刊文春12月8日号(12/1発売)では『広島あいりちゃん事件 殺人犯が現場に残した「XI」のメッセージ』と題して、『ネウロ』の簡単な説明と「犯行の手口について、ある漫画との類似性が囁かれている。」,「人をさらって殺し、箱の中に詰めるという強盗殺人犯が登場するが、その名前は「X・I」(サイ)。」などと紹介されていた。
他に、福島章・上智大学名誉教授(犯罪心理学)の分析として「その漫画のような種類の犯罪や倒錯的な表現というのは、探せばいくらでもあるんです。だから影響というのはあるのかも知れません。それとは無関係に、犯罪やセックスや死体など猟奇的な情報が、大人の読み物だけでなく少年誌にも登場する時代になっていますから、そういった表現法が氾濫している中で育ってしまった若者の犯罪かも知れませんね」というコメントが掲載されている。
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記事の中で作品について紹介しているところは良心的だが、「箱の中に詰めるという強盗殺人犯が登場する」と書きながら、あえて“箱”が似ても似つかぬ事を伏せているところに恣意的なものを感じる。
『殺人犯が現場に残した「XI」のメッセージ』という煽り文句も安易だ。 そもそも犯人がメッセージ性を持たせるような人物なら、対象が小学1年生とはいえ高さが26センチしかなく蓋もまともに閉められないような浅いダンボール箱を使ったりはしないだろう。

11月29日の日本テレビ「きょうの出来事」では、「ネウロの単行本3冊をボカシ入りで画面に出た」や「作中に犯人がテープをXIの形に貼るシーンがある、と放送された」という情報がある。 なお、作中ではテープは貼らないので当然そのようなシーンもない。
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質【クオリティ】
「2ちゃんねる」等の掲示板がある近年では、誰か一人が掲示板に書いた事が(それが善意であれ悪意であれ)複数の人間によって伝達されるため件数の「多さ」が「確度」や「品質」に必ずしも結びつかず、情報の受け手側には然るべき判断が求められる。
おそらくは事件発生初日のニュースを知った『ネウロ』読者の「サイを連想した」とか「事件と関係なければいいんだけど…」といった掲示板への書き込みが最初なのだろう。 それらが変形や複製を伴いながら一部で話題になり、捜査本部に寄せられ、一部のマスコミにも取り上げられた。

その一部のマスコミは「判断力が低い善意の慌て者」なのか、それとも「興味本位の悪意の複製者」と呼ぶべき者なのか・・・?
Y容疑者が逮捕されて事件と『ネウロ』も関係なさそうだし、(書いているうちに)すっかり日にちも経ってしまったので、それに関してここで書くことは放棄して、作中のセリフを借りて幕としておこう。
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■
『百年早いぞ 腐れマスコミ』
 
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余【おまけ】
★Y容疑者は外国人。 日本語が苦手で、日本のマンガも読めないようだ。 母国では1992年より少なくとも3回の少女暴行未遂事件を起こしており指名手配されている事が判明している。 偽造した書類を元に偽名のパスポートを取得して入国。 日系人らしいが、それも偽装の可能性が高い(単なる“外国人”より“日系人”の方が日本での就労活動が有利になる)。

★『ネウロ』作中には、「サイ」を信奉するあまり動物をガラスの箱に詰めている模倣犯のイカレた少年が登場している。 現実に出てこないことを祈るばかりだ。

★『ネウロ』作中に登場するスクープカメラマン「篠原」のセリフ。
    ↓
 カメラが捕らえる情報は… 所詮真実の欠片(かけら)だ
 もっと言うなら… 真実である必要すらない!!
 情報は俺の「眼」を通して初めて… 真実になるんだ
 材料となる情報さえあれば… 俺の「眼」は完璧な真実を造り出せる!!

篠原はハンディカムを片手に有名人を取材し、スキャンダラスな記事を造り出しては自殺に追いやっている。 早い話が一部捏造の偏向報道だが、奇しくも今回の件を思わせる部分もある。
先に引用した『百年早いぞ 腐れマスコミ』は、ネウロが彼らを「撮り殺し」に来た篠原を一蹴するときのセリフだ。

★漫画の画像は『魔人探偵脳噛ネウロ(第3巻)』より引用。 事件で紹介されてから、書店で手にとってみる人が増えたというウワサもある。

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